京都市や市観光協会などが主催する「京の冬の旅」が始まった。世界遺産の龍安寺(京都市右京区)など市内15カ所で、普段は非公開の文化財を特別に公開している。3月18日まで。
「石庭」で名高い龍安寺では、もう一つの庭「西の庭」が特別公開されている。室町期の庭を復元した回遊式庭園で、室町幕府の管領(かんれい)・細川勝元の木像や細川家歴代の位牌(いはい)をまつる細川廟(びょう)が立つ。
18世紀の大火で焼失し、1981年に再建された仏殿も公開されている。総ヒノキ造りで香りがすがすがしく、天井には「下り龍」が描かれている。細川護熙元首相が奉納した「雲龍図」のある方丈も見どころだ。
9日にあった内覧会で松井孝治市長は「冬の京都は美しくて静か。静謐(せいひつ)な環境の中で文化財を鑑賞し、京都の冬の奥深さを多くの方に味わっていただきたい」と呼びかけた。
平等寺(因幡(いなば)堂、下京区)では、「頭巾のお薬師さん」として知られる薬師如来立像が特別公開されている。厨子(ずし)の中で頭をぶつけないようにと、防災頭巾をかぶっている。
地蔵院(椿寺、北区)では、「おたふく阿弥陀」の愛称がある五劫思惟(ごこうしゆい)阿弥陀如来像が拝める。長い間、衆生(しゅじょう)の救済を考え続けたことから螺髪(らほつ)が伸び、ふっくらとした顔立ちをしているのが特徴だ。
世界遺産の仁和寺(右京区)では、扉の奥に極彩色の世界が現れる経蔵や五重塔が公開されている。
ウェブ予約優先制や完全予約制の公開もある。詳細は公式サイト(https://ja.kyoto.travel/specialopening/winter/)。「京の冬の旅」コールセンター(075・585・5181、午前9時~午後5時)もある。