14日午前11時に和歌山県串本町で打ち上げが予定されていた小型ロケット「カイロス」2号機は発射の直前で中止が報じられた。公式見学場などに集まった人たちは残念がりつつも、15日午前11時に延期となった次回の打ち上げに期待を寄せていた。
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発射場近くの公式見学場「田原海水浴場」(串本町)には全国から多くの「宇宙ファン」が駆けつけた。中止がアナウンスされると「えー!」という声があちこちから上がった。
大阪府交野市の会社員寺田周平さん(35)は前夜に家を出て車中泊をして朝を待った。「初号機も見に来ました。日程が合えばまた来たい」
ミニサイズの模擬衛星の完成度を競う缶サット甲子園の強豪・和歌山県立桐蔭高校科学部員の坂本大知さん(3年)は「万全を期しての延期だと思います」と理解を示した。
田嶋勝正・串本町長は「これ以上ないという最高の天気だったので必ず打ち上がると思っていたが、自然相手のことなので仕方がない」と話した。
和歌山市のイオンモール和歌山の屋外ステージに設けられたパブリックビューイング会場では、大型モニターを前に買い物客らが打ち上げの様子を見守った。
打ち上げ予定時刻の午前11時前、延期を知らなかった買い物客が「えっ、中止になったの?」と報道陣に問いかける姿もあった。
3月9日の初号機の打ち上げも同じ会場で見学した紀の川市の小学4年、古田瑛人さんは宇宙に関する本を読むなどロケットにも関心がある。「今日がよかったけど、次は絶対に飛んでほしい」と残念がった。
和歌山市の会社員川口均(ひとし)さん(65)は延期が決まり「まいったなー」とぽつり。「残念ですけど仕方がない。楽しみが先に延びました」
岸本周平知事は串本町内のホテルで取材に応じ、「天候の関係で打ち上げが中止されたということで、それは当然よくあること。期待感が高まれば高まるほど、成功した時、喜びが増すのではないか」と、次回への思いを込めた。