人工呼吸器を着けた医療的ケア児(事件とは関係ありません)=2023年11月

 医療的ケアが必要な長女の人工呼吸器を外したとして、福岡市の母親が殺人の疑いで逮捕された。福岡県警によると、長女は生まれつきの病で自力で手足を動かせず日常的に人工呼吸器をつけていた。母親は逮捕時に「娘を殺して私も死のうと思ってやってしまった」と話したという。

 一般的に、医療的ケアが必要な子どもには、絶え間ないケアが欠かせず、同居する家族は昼夜問わず心身の負担がかかる。接する専門家は、医療的ケア児の家族への手厚い支援がもっと必要だと指摘する。

 人工呼吸器やたんの吸引、口からでなく胃に直接栄養を入れる胃ろうなどの医療的ケアを日常的に必要とする「医療的ケア児」は、全国に約2万人いると推計される。新生児医療や小児救急医療の進歩を背景に、年々増えている。

 国は2021年9月に「医療的ケア児支援法」を施行。それまでは児童福祉法で「努力義務」とされていた各自治体による支援を、「責務」であると初めて明記した。支援法では、各都道府県に相談や情報提供を行う支援センターを設けることや、保育所や学校に看護師を配置することなどを求める。学校現場で医療的ケア児の受け入れが進んだとの評価がある一方、課題も多い。

 北九州市で医療的ケア児への…

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