国際観艦式で航行する海自護衛艦いずも(手前)=2022年11月6日、神奈川県の相模湾、海自ヘリから土居貴輝撮影

 ドローンが海上自衛隊の護衛艦いずもに後方から近づき、甲板上を飛行しながら撮影したように見える動画がSNS上で拡散された。動画の真偽ははっきりしないが、日本の防衛態勢についてくみ取るべき教訓はなにか。無人兵器の最新の動向やサイバー戦に詳しい大澤淳・中曽根平和研究所主任研究員に聞いた。

 ――いずもを映したとされる動画がSNS上で公開されました。動画には、中国の大手動画共有サイトのロゴマークが記されています。どのような点に注目しましたか。

 「いずもの部分だけをAI(人工知能)でつくり、背景を実際に撮って合成した可能性はあります。ただ、影の角度や位置を考える必要がありますし、艦尾の自衛艦旗の動きを見ると、規則性のあるパターンで動いていない。簡単にできる映像ではありません。本当に映画を作る感覚で、お金をかけてパーツごとに作り込んで合成すればできますが、それだけのお金をかけて動画を公表する価値は何なのか、分かりません。そういう意味で、実物だろうと思っています」

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 「いずもは今年3月7日あたりに(母港の)横須賀基地に入港し、3月下旬まで基地の岸壁にいました。整備や乗員の休養だったのでしょう。(動画の)甲板上には人がいませんが、最低限の見張りを残して多くの乗員が艦を降りるということはありえます。そうした状況から、3月10日ぐらいから下旬に撮られた映像なのではないか。映像の質はかなり高いです。4K映像かと思いましたが、200グラム以下のトイ・ドローンのようなものでも、十分、4Kの動画を撮れます。コンパクトで発見されにくいドローンを飛ばしていたのではないでしょうか。いずもの甲板にいて、自衛艦旗の先に小型のドローンがいても、目視では分からないでしょう」

 ――実写された可能性が高いとした場合、動画を撮影し、公開した人物の素性、目的について、どうみていますか。

 「意図は正直、よく分かりま…

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