メッセージ入りの紙灯籠に火をともし、能登半島地震の犠牲者に黙禱(もくとう)する人たち=2024年7月1日午後7時31分、石川県輪島市、林敏行撮影
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 能登半島地震は1日で発生から半年になった。石川県内の死者は281人、住宅の全半壊は計約2万5千棟にのぼり、全半壊した建物を取り壊す公費解体や水道の復旧の遅れが課題になっている。

 輪島市町野町の仮設住宅では1日夜、紙灯籠(とうろう)約400個に火をともし、犠牲者を悼んだ。地元の住民グループ「町野復興プロジェクト実行委員会」が企画。1995年の阪神・淡路大震災の伝承に取り組む神戸市のNPO法人が、同市内でともし続けている「1・17希望の灯(あか)り」から分灯した火で点火した。

 実行委員会の山下祐介委員長(38)は「亡くなった方々に哀悼の意を表し、生き残った私たちが明日を生きる意味を再確認できる場になってほしい」と話す。

 自宅が全壊した会社員の高野雅史さん(45)は、公費解体がいつになるのか、家の再建にいくらかかるのか、先の見通しが立たないことに不安を感じている。「神戸から火をもらい、応援してもらえていると思うとありがたい。前を向く力をもらえる」

 県内では仮設住宅が必要戸数の7割にあたる約5千戸が完成している。

 この日は、復旧・復興を加速させるためとして各省庁の派遣職員を150人まで増やして発足させた「能登創造的復興タスクフォース」の初会合が輪島市であり、岸田文雄首相や馳浩知事らが出席した。

 首相は記者団に対し、能登地域を対象として補助率7割の「復興応援割」を実施する意向を示した。(椎木慎太郎、谷瞳児)

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