狩野探幽「探幽縮図 雪舟像」=1662年、京都国立博物館蔵
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 「『雪舟展』ではありません!」とあえてチラシに記した展覧会が、京都国立博物館(京都市東山区)で開催中だ。その名は「雪舟伝説」展。今では「画聖」と仰がれる雪舟(1420~1506?)が、どのように神格化されていったのかを、近世の画家たちの作品を通じてたどる内容だ。

 「なぜ、これほどまでに雪舟の作品が評価されているのか。そんな素朴な疑問が、本展を企画したきっかけでした」。京博の福士雄也・主任研究員は話す。雪舟が日本美術史上で最も重要な画家の一人であることは、最多の6件が国宝に指定されていることからも明らかだ。「でも、作品を見るだけで評価の理由が分かるかというと、決してそうではないんです。歴史的な評価の積み重ねの上に、現在の名声があるからです」

 同展では、国宝6件を含む雪舟の作品をまず見せてから、影響を受けた30人を超える主に近世の画家たちの作品を並べている。出品総数は通期で約90件だ。

 備中国(岡山県)生まれの雪舟は、大内氏の庇護(ひご)を得て遣明使節の一行に加わり、明で中国の画法を学んだ。多くの弟子を育てたが、没後に画系は途絶えていったという。

 評価形成に大きな役割を果た…

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