写真・図版
「石鼓文 中権本(宋拓)」=三井記念美術館蔵

 たとえ旧蔵者が亡くなろうとも、名品は滅びず、コレクターからコレクターへと受け継がれてゆく――。「石鼓文(せっこぶん)」は、それを体現したような存在だ。

 太鼓に似た形の花崗岩(かこうがん)に刻まれた韻文で、7世紀の唐時代に出土した。10個の石に、秦の始皇帝が字体を統一する前に用いられた、篆書(てん…

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