白く尾をひく雲が流れるこの大空は、実は相反する美意識を包み込んでいる。

 稲刈りが終わったとおぼしき秋の津軽の田んぼのなかを、馬にひかれて一人の農夫が進んでゆく。牧歌的にして土着的な風景といえる。一方で大きくとられた雲と空、傾く大地、農夫の衣のたなびきは、これしかないと思えるような構成美を描き出し…

共有