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高額療養費の限度額の引き上げ凍結を求める全国がん患者団体連合会の天野慎介理事長(中央)や日本難病・疾病団体協議会の辻邦夫常務理事(左から1人目)=2025年2月26日午後4時55分、東京都千代田区の厚生労働省、吉備彩日撮影

 医療費の患者負担に月ごとの限度を設けた「高額療養費制度」の見直しについて、がんなどの患者団体が26日、上限額引き上げの全面凍結を求めた。政府は患者らの反発を受け、長期療養者の限度額を据え置く方針に転じたが、患者団体などは、大幅な負担増が生じるケースがあると指摘する。

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 政府は、直近12カ月以内に3回以上限度額に達した場合、4回目から限度額が引き下げられる「多数回該当」については据え置くと修正した。ただ、日本難病・疾病団体協議会の辻邦夫常務理事は26日の会見で、「決断は高く評価したいが、1~3回目の限度額引き上げで制度から外れる人が多数発生し、セーフティーネットの縮小になってしまう」と指摘。東京大大学院の五十嵐中(あたる)特任准教授(医療経済学)も同席し、見直しの患者への影響についての独自推計を示した。

 この推計では、大企業の会社員らが加入する健保組合と、自治体の国保組合の組合員で、2022年度の高額療養費制度の利用者を約186万7千人と見込み、引き上げが完了する28年度時点の限度額が適用されたと仮定。医療費が限度額に届かず、上限到達の回数がゼロになった人は約8万4千人、回数が減る人は5万3千人となった。回数は減らないものの、自己負担額が増える人は122万5千人だった。

患者団体「いったん立ち止まって」

 五十嵐特任准教授は「幅広い…

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