写真・図版
模型を用いてエリア内の地域冷暖房システムを解説する「えきまちエナジークリエイト」社の鈴木孝子社長。地下には約2万トンの容量を持つ蓄熱槽が設けられる=2024年7月30日午後0時4分、東京都港区

 JR東日本が2025年3月のまちびらきをめざして再開発を進める「高輪ゲートウェイシティ」(東京都港区)で、エリア内の環境負荷を減らすための取り組みが報道公開された。食品廃棄物からつくるバイオガスや燃料電池(FC)トラックの活用で、二酸化炭素(CO2)排出ゼロをめざすという。

 同シティは、約10ヘクタールのエリアに1日約10万人が行き交うまちを想定。来年3月下旬、オフィスやホテル、商業施設が入るツインタワーが開業し、その後約1年をかけて、建築家の隈研吾氏がデザインした文化施設や地上44階建て高級賃貸住宅などが順次オープンしていく予定だ。

 JR東によると、エリア中心部の地下に50メートルプール8杯分の容量をもつ蓄熱槽を建設。夜間電力を用いてつくった温水や冷水を循環させ、地域冷暖房システムとして活用する。ビル内のバイオガス設備では、飲食店などから出る食品廃棄物を発酵させたガスを燃料に、エリア内のホテルの給湯システムに必要な熱量の1割を供給する。

 エリア内への物流は、約7キロ離れた平和島地域(東京都大田区)に集約倉庫を建設。外部からの荷物をいったん集め、倉庫からエリア内へはFCトラックで運び込む。これにより、エリア内のトラック通行は1日約1千台減るという。

 エリア内のエネルギーマネジメントを担う「えきまちエナジークリエイト」社の鈴木孝子社長は「何もしなければ、新たなまちの誕生で、CO2排出量は年間12万トン増えてしまう。まちびらきから様々な環境対策に取り組み、排出量実質ゼロをめざす」と話した。(細沢礼輝)

共有