通信制高校に通う生徒が増え続けている。2024年度は約29万人と、高校生の11人に1人に上る。学校数も公私立あわせて303校と、00年度(113校)の約2.7倍に。多様な学び方が広がり、通信制高校の生徒を支援する「サポート校」への新規参入も相次ぐ。一方で、「質の確保」をめぐり、課題も指摘されている。

【連載】まなviva!(学び場)

幼い子どもから、人生のベテランまで。日々の暮らしの中に、学びは満ちています。「人生100年」と言われるいま、学びとどう向き合えばいいのでしょうか。「学ぶ」をとりまく喜怒哀楽や最新事情を伝えます。

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中山間地の暮らしを体験する実地学習では、福島県で田植えに挑戦した=N高提供

「ネットの高校」N、S高に続いてR高も

 「ネットの高校」として知られるN高(沖縄県)、S高(茨城県)を運営する角川ドワンゴ学園は4月、群馬県桐生市に3校目となるR高を開く。N、S高には計約3万人が在籍。通信制高校全体の1割を占める。

 N高校長で、R高校長も兼務予定の奥平博一さんは「多様な学びの場が求められている。ニーズがある限り、施設を増やしていきたい」と話す。

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通信制高校の校数と生徒数の推移

 N高は16年、S高は21年に開校した。オンラインで学ぶネットコースや、全国に69カ所あるキャンパスに通う通学コースなどがあり、必修授業はオンラインで受講する。

 N、S高は廃校になった学校の校舎を利用。R高も閉校した県立桐生女子高の校舎を活用する。3校とも2年次にはそれぞれの本校を拠点としたスクーリング(対面授業)があり、生徒らは数日間滞在する。地域活性化や経済効果を見込んで、通信制高校の誘致に乗り出す自治体も多い。

通信制サポート校も増えていて、多くの業種から新規参入が相次いでいます。記事後半には通信教育大手のベネッセが4月に開くサポート校「Be高等学院」の学院長インタビューもあります。

不登校を経て通信制へ「自分を認められるように」

 通信制を選ぶ生徒の多くは、不登校を経験している。文部科学省の調査によると、23年度に不登校だった小中学生は過去最多の34万人。奥平さんは「何が不登校を生み出しているのか、学校教育の構造そのものを議論すべきだ」と話す。

 N、S高の生徒会長、大杉優…

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