駅弁が、駅の外で奮闘を続けている。鉄道の地方路線の相次ぐ廃止や高速化で、駅での需要は減少。穴埋めするように、百貨店やスーパーで売られるようになったが、厳しい状況は続く。そんな中、駅弁の灯を消すまいと歴史を重ねてきたのが、4日から始まった京王百貨店新宿店の駅弁大会。今年で60回目を迎えた。

 駅弁の歴史は140年ほど前にさかのぼる。宇都宮駅で初めて売られたというのが通説だ。その後、駅での立ち売りが盛んになり、駅で買って車内で食べるスタイルが定着した。

一世紀以上の歴史も市場は縮小傾向

 戦後の高度成長期、鉄道網が各地に広がり、鉄道の利用者が増加。その波に、駅弁も乗った。日本鉄道構内営業中央会によると、1965(昭和40)年代、国鉄の駅で販売する駅弁業者は400を超えていた。

 だが、その後、自家用車の普及や日本経済の低迷などで、駅弁市場は縮小傾向に。JRの駅で営業する駅弁業者は77(2024年4月1日現在)まで減った。

 その一方で、百貨店やスーパーでの催事販売が増えた。JR東京駅の「駅弁屋 祭」など大都市圏のターミナル駅にできた駅弁コーナーとともに、「駅」以外の販売が主流になった。

 だが、駅の外での競争も熾烈…

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