自民党の衆院3補選全敗などに関して、取材に応じる岸田文雄首相=2024年4月30日午前9時42分、首相官邸、岩下毅撮影
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 三つの衆院補選での自民全敗について、岸田文雄首相は4月30日、首相官邸で記者団の取材に応じ、裏金事件が敗因だったとの認識を示して陳謝し、衆院解散・総選挙を「全く考えていない」と語った。首相の求心力低下が加速する中、当面は解散を封印する構えを示して「岸田降ろし」を回避し、態勢立て直しを図る狙いがありそうだ。

 「真摯(しんし)に重く受け止めている。自民党の政治資金の問題が、大きく重く、足を引っ張ったことについては申し訳なく思っている」。記者団を前に、首相は厳しい表情で時折言葉を詰まらせながら、そう語った。解散について問われると、「一つひとつの課題に取り組み、結果を出すことに専念しなければならない」と強調し、「全く考えていない」と語った。

 解散権は首相の専権事項であり、権力の源泉だ。首相はこれまで「『今は』考えていない」とあいまいな言葉で解散風をあおり、自身への求心力を高める政治手法を繰り返してきた。しかし、首相が今回、明確に否定せざるを得なかったのは、解散への与党内の強烈な拒否反応を強く自覚しているからだ。

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