長谷川美知枝さん(中央)とミツハシライスの開発担当の小谷田篤さん(右)と田村芙紗菜さん。ごんじゅうの発売を知った地元の人や親戚から「連絡がたくさんきたのよ」と長谷川さん。小谷田さんは「ごんじゅうが再び地元に根付くのがとても嬉しい。なんだかジーンときちゃいます」=2024年5月22日午後1時50分、館山市内、竹中美貴撮影
  • 写真・図版
  • 写真・図版

 【千葉】存続が危ぶまれる各地の郷土料理を次世代へつなげようと、米卸会社・ミツハシ(横浜市)が新たな取り組みを始めた。その第一弾として、館山の郷土料理「ごんじゅう」を商品化し、来月から関東一円のスーパーで期間限定販売する。

 「ごんじゅう」は、豚バラ肉と油揚げを甘辛く煮てご飯にまぜたもの。おにぎりにして食べられることが多く、館山で1千年以上続く鶴谷八幡宮の秋の大祭「やわたんまち」(県指定無形民俗文化財)で、みこしを担ぐ若者らに振る舞われてきた。手軽に食べられるうえ、疲労回復効果のあるビタミンB1を豊富に含む豚肉が特長のスタミナ料理だ。

 ただ、地元でもごんじゅうを知る人は少なく、同社の開発担当・小谷田篤さん(41)が、苦労して開発に協力してくれる人材を探した。それが、結婚を機に館山に移り住み、40年ほど前からごんじゅうを調理しているという長谷川美知枝さん(77)だった。

 長谷川さん手書きのレシピをもとに、昨夏ごろから試作を重ね、今春ようやく完成。「おらがごっそ(わが家のごちそう)を、みなさんに食べてもらえてうれしいな」。長谷川さんからお墨付きを得るほどの商品の完成度という。同社で商品開発を担当する田村芙紗菜さん(29)も「カツオの香りと豚肉のうまみが広がるのを楽しんでほしい」と話す。

 販売は6月1日から1カ月限定。ワイズマート(一部店舗で取り扱いなし)など関東一円の10社以上のスーパーで、一つ150円(税込み)前後で販売予定。問い合わせはミツハシ(0120・39・3284)へ。(竹中美貴)

共有