長らく「対立」の構図にみられてきた風力発電の推進と鳥類の保全が、「両立」を目指す方向へとかじを切りつつある。化石燃料から再エネへの転換が進まなければ、人類も鳥類も温暖化で滅びる可能性があるからだ。ただ、日本は欧州に比べ風車と鳥類に関する調査データの蓄積が少なく、巨大化する風車の影響を減らすには困難も予想される。

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バードストライクで死んだツバメ=2015年8月2日、福島県郡山市、日本野鳥の会提供

「あーーっ!」

 ぐるぐる回る陸上風車のブレード(羽根)に飛んできた鳥がまき込まれるバードストライク(BS)の映像に、会場から悲鳴があがった。昨年11月16日、北大で開かれた大型猛禽(もうきん)類の未来を考えるシンポジウム。

 ショッキングな映像を提供したのは、北海道で10年近くオジロワシなどの猛禽類の風車事故防止を研究してきた河口洋一・徳島大准教授だ。道内では、冬や春にBSは起きており若い個体が多い。

 最近の不安材料は、風車の大型化だ。風車の数を減らせるため発電事業者にはメリットだが、「風車のブレードが長くなることで回転面積が大きくなって、鳥類の風車衝突空間は拡大する。小型の鳥類のリスクも増える」と指摘する。

 陸上風車より厄介とされるの…

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