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2025年3月8日、ソウル拘置所から釈放され、手を振る韓国の尹錫悦大統領=ロイター
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 韓国の検察は8日、「非常戒厳」の宣布をめぐり内乱を首謀した罪で逮捕、起訴された尹錫悦(ユンソンニョル)大統領の勾留取り消し請求を認めた7日の裁判所の決定に対する即時抗告を断念した。尹大統領は釈放され、52日ぶりに大統領公邸に戻った。今後は在宅で刑事裁判に臨むことになる。

 釈放によって、捜査を違法だと主張する尹大統領側や支持者らが勢いづく可能性がある。憲法裁判所が弾劾(だんがい)審判で近く尹大統領の罷免(ひめん)の可否を判断するとみられるが、弾劾をめぐる社会の対立もより深まりそうだ。

 尹大統領は8日午後5時50分(日本時間同)ごろソウル拘置所を出た。公邸前に到着すると支持者らの前で車を降り、手を振ったりガッツポーズをしたりして応えた。目の前で姿を見た男性(25)は「弾劾訴追も必ず棄却されると信じる」と述べた。尹大統領が公邸に入った後も、支持者らは「私たちが勝った」「弾劾却下 職務復帰!」「公捜庁(高位公職者犯罪捜査庁)解体」と声を張り上げた。

 尹大統領は弁護団を通じたメッセージで、勾留取り消し請求を認めたソウル中央地裁の「勇気と決断」に謝意を示し、「寒い中でも応援してくださった多くの国民と未来世代のみなさんに深く感謝する」と表明した。

 保守系与党・国民の力の権性東(クォンソンドン)院内代表は「違法な拘束から52日ぶりになされた至極当然の釈放だ」と指摘した。検察が釈放を決めるまでに24時間以上かかったのは「職権乱用不法監禁」だったと攻勢を強めている。

 一方、進歩(革新)系最大野党・共に民主党の報道官は尹大統領が「凱旋(がいせん)将軍」のように支持者の前でふるまったとして「(内乱罪の)被疑者であることを否定する破廉恥な態度」だとし、「すでに暴動をあおり始めている」と批判。「迅速な罷免だけが憲政秩序を守ることができる唯一の道だ」として、憲法裁の決断を迫った。

 この日、ソウル中心部では尹…

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