電話で悪質なクレームをつけてくるカスタマーハラスメント(カスハラ)を、どう防ぐか。名古屋市の企業が実際に被害を受けた経験者にアンケートしたところ、「録音告知メッセージ」が役立ったという回答が最も多かった。顔が見えない匿名性からエスカレートしやすい電話でのカスハラだが、「通話は録音される」と伝えることが抑止効果になると考えられている。
「4時間にわたって叱責」被害も
顧客から暴言や理不尽な要求などを受けるカスハラは、全国的に社会問題になっている。三重県が今月発表した実態調査では、回答した県内従業員の32.1%が過去3年間に被害を受けていた。行為は複数回答で「威圧的な言動」が75.5%と最も多く、次いで「脅迫・中傷等(対面・電話)」59.5%だった。
この調査とは別に、企業向けの迷惑電話対策サービス「トビラフォン Biz」「トビラフォン Cloud」を展開する「トビラシステムズ」(名古屋市)は7月、過去3年以内に電話によるカスハラを受けたことがある全国の25~60歳の男女を対象に、インターネットでアンケートした。729人から回答(各設問で複数回答可)があった。
被害は、暴言が65.3%、長時間にわたる電話55.0%、繰り返しの電話39.6%、威嚇・脅迫が35.9%、セクハラ18.1%だった。具体的な内容では、「『お前はバカか』など自身の存在を否定されるような言葉を毎日言われた」「4時間にわたるクレーム電話で叱責(しっせき)された」などがあった。
また、カスハラを受けたことで「怒りや不満・不安を感じた」66.1%、「仕事に対する意欲が減退した」49.8%、「仕事に恐怖を感じるようになった」33.9%と、仕事に悪影響が出ていることもわかった。電話によるカスハラが起きやすい業種では、その他サービス業17.4%、医療・福祉14.7%、卸売業・小売業14.1%と、接客で個人客とのやりとりが多い業種が上位を占めた。
「言った、言わない」トラブル時の証拠にも
一方、対策として役立ったの…