エネルギー基本計画について検討する分科会であいさつをする斎藤健経済産業相=2024年5月15日、京都千代田区 、多鹿ちなみ撮影

 国のエネルギー政策の方向性を示す「エネルギー基本計画」の見直しに向けた議論が15日、経済産業省の有識者会議で始まった。前回2021年の改定時は電力の需要が緩やかに減るとした。今回はそれを覆し、デジタル化の進展で電力の需要も増えてゆく社会を想定する。再生可能エネルギーの活用策だけでなく、原発をどう位置づけるかも焦点だ。40年度の電源構成も示す見通し。

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 エネルギー基本計画は少なくとも3年に1度見直すことになっている。前回の想定では、少子化や省エネが進むため、電力の需要も減るとしていた。今後も家庭部門の需要は減ってゆくとみるが、人手不足を解消するための省人化技術の普及や、電気を大量に使うデータセンター(DC)や半導体工場の新増設が進むため、産業部門の需要が大きく増えるとする。

 全国の電力需給を調整する国の電力広域的運営推進機関によると、足元では約8千億キロワット時ある需要が、10年後は4%ほど増えるとみる。50年には1兆キロワット時を超えるとの推計もある。

 電力の需要は国の成長戦略にも関わる。経産省はDCや半導体工場を誘致して、国内の研究開発や人材育成につなげたいとの思惑がある。それらの事業を担う企業は環境問題への関心も高く、非化石燃料による電力の供給を求めるケースが多い。経産省幹部は「安全保障の観点からも化石燃料への依存度は下げたい。脱炭素電源がないとAIも半導体も誘致できず、二重の負のスパイラルに陥りかねない」と話す。

 ただ、電力需要が増えてゆく…

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