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豊年を祈る奥能登の農耕儀礼「あえのこと」が9日、行われた。石川県輪島市三井町では、一面に雪が積もった田んぼに、地域の人たちが姿の見えない「田の神様」を送り出した。
「あえ」はもてなし、「こと」は祭りを意味する。12月5日に田の神様を田んぼから自宅に迎え入れ、ごちそうや風呂でもてなして収穫に感謝し、2月9日に田に送り出して豊作を祈願する。
三井町では実行委員会をつくって「田の神様祭り」と呼ぶあえのことを2009年に再興したが、昨年元日の能登半島地震で、神様を迎え入れてきた古民家が損壊。近くで災害ボランティアの拠点となっている「茅葺庵(かやぶきあん)」に間借りし、ボランティアが寝泊まりするテントを張った和室に田の神様を招き入れていた。
この日は主人役を務めた三井公民館長の小山栄さん(74)が、「右の方へ回ります」「少し段差になっておりますのでお気をつけください」と姿の見えない神様に声をかけながら案内し、地元でとれた野菜でつくった食事でもてなした。
小山さんは、神様に昨年9月の豪雨の影響でとれた野菜が例年より小ぶりだったことや、地震による倒壊家屋の解体が進んだせいか、居場所のなくなったネズミが増えて作物を荒らすことなどを報告し、「今年はいい年でありますように」と願って、神様を田んぼに送り出した。