
順天堂大学などの研究チームが、先天性難聴の原因になる遺伝子変異を修復する、新しい手法を開発したと発表した。マウスを使った実験で、この変異で引き起こされる細胞の異常を修復できると確認した。
先天性難聴は、1千人の新生児のうち1~2人にあるとされる。約半数は両耳に難聴があり、さらにそのうち半数ほどは遺伝子が原因とされる。
今回チームが注目したのは、原因遺伝子として最も多くみられるGJB2という遺伝子。変異によって、耳の中の「内耳」で、細胞どうしの結合が乱れてしまうことが知られている。これによって、内耳の音を感知する機能がうまくはたらかなくなり、難聴につながると考えられている。
チームは、難聴の「治療薬」として、人間に病原性のないウイルスを改造することに成功。内耳に注射することで、GJB2の変異を修復する特別なたんぱく質がつくられるようにした。
ヒトの培養細胞を使った実験では、このウイルスの作用で、28%の細胞のGJB2遺伝子の変異が正しく修復されることを確認した。マウスの実験でも、内耳の細胞どうしの結合の乱れが修復されることが確認できたという。
研究成果は3月10日付で、米臨床研究学会が発行する医学誌「JCI Insight」に発表された(https://doi.org/10.1172/jci.insight.185193)。
チームの一員で順天堂大耳鼻…