名古屋拘置所

 名古屋城からほど近い名古屋拘置所。その講堂で7月25日、ある講演が開かれていた。

 「涙活(るいかつ)」。思いを込めて書かれた手紙の朗読を聞くことで涙を流し、明日の糧にしようというもの。

 壇上には、大阪を拠点に漫才やコントなどを書いてきた放送作家、橋本昌人さんがいた。彼の朗読が響く。

 《おばあちゃんへ

 おばあちゃん、せっかくやいてくれたオカキを、かたくてマズイと言うてゴメンな》

 入院している祖母にあてた小学生の手紙だ。

 朗読を聞いていたのは66人の受刑者と、彼らの様子に目を光らせている刑務官たちだ。

 名古屋拘置所には、刑事事件に関連した500人余りが収容されている。裁判中の人もいれば、刑が確定していて、刑務所への移送を待つ人もいる。

 講堂に集められていた66人は刑が確定した人たちだ。いずれも初犯でこの拘置所で平均2年ほどの刑期をつとめて社会に出る。再犯防止に向けた更生は、拘置所が担う。

 そんな受刑者のために昨年は、元TOKIOのメンバー、山口達也さんに、アルコール依存について話をしてもらった。

 今回は、涙活。泣くことでこ…

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