石川県能登地方を襲った最大震度7の揺れは、元日の意味を変えた。
被災地では年末年始の恒例行事が難しくなり、新年を祝うことにためらいの声もある。
475人の命を奪った能登半島地震から、まもなく1年。
輪島市役所から1キロほどの真宗大谷派・浄明寺(輪島市輪島崎町)。例年は大みそかに門徒や近所の住民ら30~40人で除夜の鐘を108回ついてきたが、今年は中止し、元日朝の法要のみを行う。
鐘をつり下げていた鐘楼堂は、元日の地震で大きく傾き、鐘は地面に下ろされた。建物はそれ以上崩れないように、木材で支えられている。
崖(きし)啓互住職(75)は「残念だが、危険なのでやむを得ない。法要は1年の無事を願い、お勤めしたい」と話す。
能登で最も寺院数の多い真宗大谷派によると、能登教区の353寺のうち、本堂や庫裏なども含め何らかの被害が確認されたのは331寺にのぼる。能登地方で除夜の鐘をつける寺は、ごく一部にとどまる見通しだ。
珠洲市三崎町にある真宗大谷派の専念寺。21代目の畠山義邦住職(75)は元日の地震で本堂の下敷きになり、体の一部が津波につかる中、住民らに救助された。年の瀬になって本堂は解体が進み、ほぼ更地になっている。
一方で、鐘楼堂は、ずれた柱…