改正銃刀法が7日、参院本会議で可決、成立した。ネット上などで銃の所持をあおる行為を新たに禁止し、自作銃を含む銃砲の罰則を強化する。2022年7月に安倍晋三元首相が銃撃され死亡した事件などを教訓にした改正で、これらの規制は7月中旬ごろに施行される。

 安倍氏の事件で山上徹也被告(43)は投稿サイトの動画をもとに銃を自作し、作った7丁のうち1丁は銃刀法上の「拳銃等」でなく、罰則のゆるい「その他装薬銃砲」にあたるとされた。

 改正法では、ネット上などで銃の不法所持にあたる行為をあおったり唆したりすることを罰則付きで禁止する。銃を自作する方法を解説する動画や3Dプリンター用の設計図などが対象で、不法所持を呼びかけたり銃を売る旨を価格や売り主の連絡先とともに投稿したりするなど、実際の製造や譲渡につながるような文言が必要という。罰則は1年以下の懲役または30万円以下の罰金。

 公共の場などで銃を撃つことを罰する発射罪は、従来の「拳銃等」に加え、「その他装薬銃砲」や猟銃も対象になる。不法所持の罰則は「拳銃等」だけが重かったが、他の銃砲も「人の殺傷などの目的の場合」は拳銃等と同じにする。

 また、ハーフライフル銃と呼ばれる猟銃の許可要件を厳しくする。昨年5月に長野県中野市で4人が殺害された事件でハーフライフルが使われたのを受けた対応。ライフルの定義を、銃内部のらせん状の溝の割合を従来の「半分超」から「5分の1以上」に変え、10年以上続けて猟銃所持を許可された人に限るなど、ライフルと同じ規制をかける。この規定は来年3月までに施行される。

 衆参両院の委員会では可決に際し、銃所持のあおりの取り締まりにあたり、不必要な検閲強化につながらないよう運用に十分配慮することや、海外からの有害な情報にも対応できる体制の整備などの付帯決議がついた。ハーフライフル規制強化に関しては、有害鳥獣駆除などに支障が生じないよう柔軟な運用を検討することなどが付された。(編集委員・吉田伸八)

改正銃刀法の概要

《自作銃を含む銃砲の悪用防止策》

・発射罪の対象を「拳銃等」以外に拡大

・「拳銃等」以外の所持罪の罰則を強化

・銃の所持をあおり、唆す行為を禁止

・威力がある電磁石銃の所持を禁止

《許可猟銃の対策》

・ハーフライフル銃の許可基準を厳格化

・長く使われていない猟銃の所持許可を取り消せる期間を短縮

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