今季、プロ野球を取材していて最もしびれた瞬間だった。
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9月23日。首位巨人と2位阪神が1ゲーム差で迎えた阪神甲子園球場での直接対決。互いに無得点の七回無死一、三塁。巨人の坂本勇人が代打で打席へ。カウント2ボール2ストライクからの5球目。外角の直球に、ノーステップでバットをあわせる。打球は右前へ。決勝適時打となった。それでも、一塁上で背番号6に笑顔はなかった。
試合後、球場内の帰路。報道陣に囲まれた35歳の表情は硬いままだった。普段の取材では多く語らないが、じっくりと言葉を絞り出した。
「野球人生のなかでも、なか…
