「憲法季評」 安藤馨・一橋大学教授(法哲学)
東京都知事選挙が終わって1カ月が経った。立憲民主党と日本共産党が一丸となって支援した候補の3位での惨敗など、今後の国政への少なからぬ影響もさることながら、選挙の過程であらわになった様々な問題の余波がなお尾を引いている。今回特に注目したいのは選挙ポスターの問題である。
都知事選の候補者数は過去最多の56人に達し、ポスター掲示場の枠不足から、8人の候補者がクリアファイルと画鋲(がびょう)を支給され枠外に自身で「増設」する形での掲出を求められた(不公平性を理由とする選挙無効訴訟が検討されているという)。他方で、この掲示枠の不足には、ある特定の団体が24人もの関連候補者を擁立したことが大きく影響しており、更に、一定金額以上の寄付者には寄付者が独自作成したポスターを24枠分貼れるようにするという形で、この団体による事実上の掲示枠「販売」が行われた。
またある候補者はほぼ全裸の女性の画像を含むポスターを掲出し、警視庁は「わいせつ」なポスターとして迷惑防止条例違反の疑いで警告を行った。実に問題陸続、百花繚乱(りょうらん)の感がある。
掲示場の設置方法などに改善…