人口減少が全国的な課題になっている。全市町村で減少が予測される四国では、地域社会の存続に危機的な影響がでると予測されている。

 人口減少が地域社会に与える影響を、徳島県の農村部、佐那河内村に移住して生活する徳島大の田口太郎教授(地域計画)に聞いた。

  • 「このままでは人口最少県に」 危機感強める知事が国に訴えたいこと

たぐち・たろう

 徳島大総合科学部教授。1976年、神奈川県生まれ。新潟工科大准教授、徳島大准教授などを経て2023年から現職。総務省の地域おこし協力隊アドバイザーや徳島県総合計画審議会委員なども務めている。

田口太郎・徳島大教授=2024年5月13日、徳島市南常三島、羽賀和紀撮影

人口減少は加速度的に進む

 人口減少のペースは、都市部よりも地方が圧倒的に速く、それも加速度的に進む。非常に危機的な状況だと思っている。

 日本の人口構成で最大のボリュームを占めている団塊の世代(1947~49年生まれ)が今年で後期高齢者になる。

 しかし、その子ども世代にあたる団塊ジュニア(71~74年生まれ)の人口ボリュームが地方にはない。多くが都会へ出て暮らし、Uターンも期待できない。

 つまり団塊世代が手放した地域の役割を引き受けるべき世代が、地方にはいない。

 消防団や民生委員のなり手が減ると、地域の保安機能が落ちる。農業や草刈りが続けられず、集落の土地管理が成立しない。地域コミュニティーが瓦解(がかい)する恐れがあると危惧している。

2020年→2050年の四国の人口減少率予測

 民間の有識者で作る「人口戦略会議」が4月に発表した報告が話題になっているが、なぜ自治体単位で人口分析をして消滅可能性などと分類するのか不思議でならない。

結局は人の奪い合い

 人口減少とは、結局は農村部…

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