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CS進出を決め、選手の元へ向かう日本ハムの新庄監督=角野貴之撮影
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 日本ハムの新庄剛志監督は選手の呼び方にこだわりがある。必ず名字の後に「君」をつけるのだ。

 それは選手を試し、ふるいにかける「トライアウト」と位置づけた1年目から徹底していた。

 担当記者に対しても「記事で僕のコメントを使う時は必ず『君』をつけてください」と要望したほどだ。

 相手をリスペクトし、高卒1年目、ベテランを問わず、フラットな目で選手全員の力量を見極めていく。そんな思いを込めていたのだと思う。

 「3年計画でチームを作る」と話している新庄監督にとって、今年は集大成のシーズンだ。

 過去2年間、己の目で見極めてきた選手を今季は大胆に起用した。

 課題だった遊撃手のポジションに3年目の水野達稀を抜擢(ばってき)したのはサプライズだった。

 春季キャンプでは2軍組でスタートさせたが、紅白戦でアピールする姿を見て、1軍へ引き上げた。

 そして、3月8日のDeNAとのオープン戦(横浜)の際、「水野君はレギュラーだから」と告げた。

 虚を突かれた水野が振り返る。

 「試合前に普通にショートの守備練習をしていた時にです。びっくりしました。誰にも言わないでね、と。これは下手なことはできないなと覚悟を決めました」

 水野は安定感を増したグラブさばきと勝負強い打撃で前半戦のキーマンに。監督の期待に見事に応えた。

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 選手を見る目は平等。しかし…

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