全国の原発30キロ圏の自治体を対象にした首長アンケートでは、事故時の避難や屋内退避への課題や懸念が明らかになった。避難ルートの寸断が相次いだ元日の能登半島地震を受け、自治体トップは避難計画の見直しの必要性を訴え、危機感をあらわにする。(根岸拓朗、玉木祥子、力丸祥子)
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元日の能登半島地震で、最大となる震度7を観測した石川県志賀町。内閣府によると、町内に立地する北陸電力志賀原発の30キロ圏内では道路の亀裂や土砂崩れなどによる避難ルートの通行止めが32カ所に上った。うち24カ所は迂回(うかい)路があったが、どれほど住民に知られていたかは不明だ。
稲岡健太郎町長は避難計画の見直しが「必要」と回答。政府には、建物や道路が損壊した状況での避難を改めて検討することや、「避難道路の強靱(きょうじん)化や多重化」を求める。
現在の避難計画には、道路の寸断対策は盛り込まれず、実効性の乏しさがあらわになった。担当者は「半島でのルート確保は難しく、ヘリや船による避難も考える必要がある。できる限り早く計画を見直したい」と語る。
アンケートは156自治体を対象にし、147自治体から回答がありました。記事の末尾に詳しい結果を掲載しています。
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