奈良トヨタがレストアした1967年式のカローラ(オートマチック車)。当時のカタログ(手前)もある=2024年5月2日、奈良県大和郡山市の県立民俗博物館、伊藤誠撮影

 昔の車ってカッコよかったよなあ――。

 そんな思い出を一気によみがえらせてくれるのが、カタログだ。1960年代を中心に国産車のカタログを収集している奈良市の清水辰也さん(71)は現在、約1万7千部を保有。コレクターズクラブ「ACC・JAPAN」(約280人)の会長を2019年から務めている。

 年の離れた兄がスポーツカーを乗り回していたのが、車好きになったきっかけ。大阪府吹田市の高校へ通っていたころから、自動車メーカーの販売店を片っ端から自転車で巡ってカタログをもらい集めた。

 同じ車でも三つ折りや薄型、冊子タイプ、色違いなど数種類あることが多いそうだが、「すべて集めて一人前のコレクター」という。

 自動車雑誌のコーナーを介した物々交換で知り合った仲間ら3人でカタログ展示会を企画し、1989年のACC設立につながった。会員は愛知、東京、大阪が多く、会員同士の親睦を図る交歓会、イベントへの参加などが主な活動だ。

 今年5月には奈良県立民俗博物館(大和郡山市)で2回目となる「車と暮らし展」を開催、カタログだけでなく、67年式「カローラ」のレストア車を奈良トヨタの協力で展示し、にぎわった。入会申し込みも数人あり、「クラブの理念『継続は力なり』でできた縁のおかげ」と胸を張る。

 ところで、カタログマニアの暮らしとはどんなものだろう。

その部屋に足を踏み入れると……

写真・図版
「カタログ部屋」で収集を始めたころの一品「トヨタ・センチュリー」を手にする清水辰也さん=2024年5月21日、奈良市、伊藤誠撮影

 自宅から自転車で約10分、薬師寺のすぐそばに立つ古い木造アパートの2部屋が「カタログ部屋兼書斎」だというので、お邪魔した。

 玄関のドアを開けると、8畳…

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