写真・図版
論説委員前田史郎の序破急

 人は死んだら三途(さんず)の川を渡るという。川の手前にある「賽(さい)の河原」では幼い子が父母の供養のため石を積み上げている。石の塔は鬼に壊されるのに、子どもは一日中、石を積み上げ続ける。

 こんな話から「無駄な努力」や「きりがない」ことを賽の河原ともいう。

 能登半島地震の教訓を検証していた政府の有識者会議の資料に、この言葉があった。昨年夏のことだ。部会はNPO代表ら様々な関係者の提言を受けて11月に報告書をまとめたが、どういう意味だったのか、ずっと気になっていた。

 資料の提出者は日本赤十字社…

共有