衆院議員を送迎する公用車の運転手(国家公務員)に、「超過勤務手当」の一部だとして、衆院事務局が現金を手渡ししている。衆院事務局自動車課によると、給与明細に記し振り込み支給すべきだと考えているが、事情があり、記さない運用が続いているという。その事情とは。

  • 40年続く「超過勤務手当」の手渡し 現役運転手「裏金のようだ」
写真・図版
衆議院の公用車の運転手に配られた「確定申告に関する注意事項」=杜宇萱撮影(文書の日付にモザイクをかけています)

 同課は取材に、現金で手渡ししているのは、月31時間(国会開会中は月36時間)を超えた分の「超過勤務手当」だと説明している。約70人に対し、毎年計2千万~3千万円を渡しているという。

 同課によると、現金手渡しの運用が始まったのは約40年前。議員の都合で運転手の労働時間が長引くことがあるため、所属政党(会派)側が一定の負担をするよう、衆院議院運営委員会理事会で申し合わせた経緯があり、この政党負担分を現金で、衆院事務局が渡している。参院ではこうした運用はないという。

 金は国からではなく政党から出ており、公務員としての給与明細に「手当」とは記せない。そのため、各自で「雑所得」として確定申告を行うよう指示しているという。

運転手が不利益を被る可能性

 いびつにも見えるこの金の渡…

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