名古屋地方裁判所

 女性に性的暴行をしたなどとして、強制性交致傷や強制わいせつなどの罪に問われた愛知県警機動隊の元巡査長井上陽(のぼる)被告(29)=懲戒免職=の裁判員裁判の判決公判が27日、名古屋地裁であった。吉田智宏裁判長は「警察官であることを利用して被害者を脅迫し、厳しい非難に値する」などとして、懲役15年(求刑懲役18年)を言い渡した。弁護側は即日控訴した。

 判決によると、井上被告は2023年4月、名古屋市内の駐車場にとめた車内で当時20代の女性に名刺を見せるなどし、性交に応じなければ捜査を行うなどと脅迫。性的暴行を加えて全治不明のPTSD(心的外傷後ストレス障害)を負わせた。21年5~7月には当時8~13歳の女児5人に公園のトイレの個室内などでわいせつな行為をするなどした。

 吉田裁判長は「女性は日常生活に多大な支障が生じ、被害結果は重い」と指摘。また、児童らの性的知識の不十分さなどにつけ込んだ卑劣な犯行とし、「職務を通じて得た知識を悪用した」と断じた。

 そのうえで「幼い児童らが成長して被害の意味を真に理解する時期が来た時に、今以上につらい思いをし、健全な成長に悪影響を及ぼすことが強く懸念される」と述べた。

 名古屋地検は女性に対する強制性交罪などで井上被告を起訴し、昨年6月に公判が始まった。しかし同12月、女性が全治不明のPTSDを負ったとして、地検は同罪を強制性交致傷罪に訴因変更し、今年9月に改めて裁判員裁判での公判が始まった。

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 これまでの公判では、被害者…

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