トランプ米大統領が2月1日に署名した大統領令は、4日からメキシコやカナダからの輸入品に25%、中国に追加で10%の関税をかけるというものだ。保護主義的な政策を立て続けに打ち出す姿には、世界から批判の声が上がっている。早稲田大・戸堂康之教授(国際経済学)は「日本は十分対処できる」という。

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戸堂康之(とどう・やすゆき) 1967年生まれ。2000年米スタンフォード大博士課程修了、14年から現職。専門は国際経済学や開発経済学、日本経済論。主な著書に「開発経済学入門」「日本経済の底力 臥龍が目覚めるとき」=2025年1月17日、東京都新宿区、多鹿ちなみ撮影

第二次トランプ政権が発足しました。他国への関税やディール(取引)外交が注目される中、日本はどのように向き合うべきなのか。識者に聞きました。

 ――第2次トランプ政権が始動しました。

 「メキシコやカナダに25%の関税をかけることは保護主義の加速であり、日本の自動車産業をはじめ広く影響が出るでしょう。ただ、世界一律の関税は回避しましたし、交渉の余地を残しているようにも思います。日本としては十分対処できる状況です」

 「注目したいのは、トランプ氏の就任式と同日に行われた日米外相会談で、自由で開かれたインド太平洋の実現への協力を打ち出したことです。トランプ氏はグローバルサウスや東南アジア諸国連合(ASEAN)に関心がないと思っていたので、早々に協力を確認できたことは、非常によかったと思います」

 ――これまでの政権と第2次トランプ政権では、どのような経済政策の違いがありますか。

 「第1次トランプ政権でもバ…

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