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オリックスの杉本裕太郎選手は人気漫画「北斗の拳」のラオウの昇天ポーズのシーンの絵を、ロッカーに飾っている=2024年7月24日午前10時41分、大阪市此花区、筋野健太撮影
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 くじけそうなとき、弱音をはきそうなとき、背中を押してくれるもの。それは、ふと聞いた音楽だったり、読み直した小説だったり、誰かの言葉だったり、人によって様々だ。プロ野球・オリックスの杉本裕太郎(33)の場合は、漫画「北斗の拳」。キャラクターたちの熱い生き様はいつも、一歩踏み出す力となった。

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 「北斗の拳」は「週刊少年ジャンプ」で1983~88年に連載された。舞台は核戦争で荒廃し、暴力で支配されるようになった弱肉強食の世界。一子相伝の暗殺拳・北斗神拳の正統な伝承者である主人公ケンシロウが、次々と現れる強敵と拳を交えていく物語だ。

 昨年は連載開始から40周年、今年はアニメ放送の開始から40周年と記念の年を迎えている。

 杉本が初めて「北斗の拳」を読んだのは、青学大の1年生のとき。大学野球部の寮の近く、部員がよく行くラーメン屋に単行本が置いてあった。「ふと読み始めたら、はまって。ラーメンを待っているときも、食べている最中も読んでいました」

 登場する多くのキャラクターのなかで、一番ひかれたのが、ラオウだった。ケンシロウと北斗神拳の伝承者争いをした4兄弟の長男であり、ケンシロウにとって最大のライバルでもある。

 忘れられないシーンがある。

 「フドウと戦うとき、フドウ…

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