米ニューヨークの国連総会で2023年9月、演説したソロモン諸島のソガバレ首相=ロイター
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 太平洋のソロモン諸島のソガバレ首相が29日、5月に行われる新首相の指名投票に立候補しないと表明した。米中が影響力を競う太平洋で「中国寄り」政権の象徴的な存在だったソガバレ氏が、トップの座から退くことになる。ただ、指名投票に向けた与野党の支持集めは続いており、新政権が親中路線を継続するか見直すかは、指名当日まで見通せない状況だ。

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 現在のソガバレ政権は2019年に発足。直後に台湾と断交して中国と国交を樹立し、22年に安保協定、23年に警察協力協定を結び、中国から援助を引き出してきた。

 4月の総選挙でソガバレ氏率いる親中派の政権与党は、単独過半数に届かず、対中関係の見直しを掲げる野党勢力の合計議席数を下回った。連立交渉などをへて野党候補が首相に指名されれば、太平洋での影響力拡大を図る中国にとっては痛手となるが、政権与党は第一党の座は維持し、ソガバレ氏は首相続投に意欲を示していた。

 しかし、豪ABCニュースによると、ソガバレ氏は29日に記者会見を開き、「新たなリーダーを迎える時だ」と述べて次期首相に立候補しない考えを示した。「私は多くのことで非難されてきた」と在任期間を振り返り、「子どもたちを含め、家族が前例のない暴言にさらされてきた。メディアから中傷され、家庭は壊された」などと理由を語った。

 後継者として、マネレ外務・貿易相を擁立すると述べた。

 マネレ氏は19年、中国との…

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