写真・図版
「鰺わいドレッシング」の開発に取り組んだ相可高校調理クラブのメンバー=2024年12月16日、三重県庁、高田誠撮影

 規格外で市場に出回らないアジを使った「鰺(あじ)わいドレッシング」ができた。三重県立相可高校食物調理科(多気町)の調理クラブの生徒たちと料理人、食品メーカーが約2年かけて共同開発した。来年1月から販売する。

 調理クラブと三重県出身の割烹(かっぽう)「伊勢すえよし」(東京・西麻布)のオーナーシェフ田中佑樹さんは2020年、「サステナブルキッチンまごの店」を立ち上げた。「未利用魚・低利用魚の年間1トン活用」をめざし、「食材の持続可能な利用」「次世代を担う料理人の育成」に取り組んでいる。

 松阪市の「辻製油」は調理クラブと約10年前から、「黒にんにくレストランシリーズ」のドレッシングを共同開発している。

 今回も調理クラブが提案した5~6種類のレシピから選び、魚のうまみと黒ニンニクのこくと甘み、さっぱりした酸味が調和した6作目のオリジナルドレッシングを仕上げた。田中さんが監修した。

 調理クラブは今回の開発にあたり、志摩市の漁港を訪ねるなどして市場に出回らず廃棄されてしまう魚がある現状について学習。規格外などで活用しきれないでいるアジを選び、約2年かけて新商品を開発した。

 「硬い骨を口に残らないようにする」「生臭さをなくす」といった難題に対し、「いぶして粉末にする」「ダイダイの果汁やお酢でさわやかさを出す」と工夫をこらしたという。野菜だけでなくフライや肉料理にも合う味に仕上がった。

 来年1月15日から、県内のスーパーや土産物店で、1本500円程度(190ミリリットル)で販売する。

 調理クラブの宇井真優さん、山口颯太さん、村田純麗(すみれ)さんの3人や田中さん、辻製油社長らが16日、県庁を訪れ、ドレッシングの完成を報告した。味見した野呂幸利副知事らは「おいしい。こういうプロジェクトには頭が下がる。県も側面から支援したい」と話した。

 プロジェクトは食材の現状や地域の魅力、課題を学ぶため、「食べる教科書」と位置づけられている。

 料理人をめざすという調理クラブの3人は「未利用魚や低利用魚だってとてもおいしいことを多くの人に知ってもらいたい」「食品ロス削減に気を配れる料理人になりたい」と話していた。

共有