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国会外で行われた衆院予算委の参考人聴取。手前が自民党安倍派の会計責任者(当時)の松本淳一郎氏の席。奥中央は安住淳委員長=2025年2月27日午前7時50分、東京都内のホテル、相場郁朗撮影
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 衆院予算委員会は27日午前、自民党派閥の裏金事件で有罪判決を受けた安倍派会計責任者(当時)・松本淳一郎氏の聴取を実施した。松本氏は裁判で22年7月下旬に「ある幹部」から還流の再開を求められたと証言していたが、この日の聴取で「(幹部の)名前はいえない」とした。ただ、「今は現職ではないと思う」と語った。安住淳予算委員長(立憲民主党)が記者団に明らかにした。

 聴取は午前8時から約45分間、安住氏や与野党の理事らが、都内のホテルで非公開で行った。議事録は作成、公開される予定だ。

 安倍派のパーティー収入の還流は2022年に一度、中止の方針となったが、松本氏は裁判で、同年7月下旬に「ある幹部」から再開を求められたと証言。「ある幹部」が誰なのかは明らかにしてこなかった。また、「22年8月の幹部会議で継続が決まった」とも述べていた。

 一方で、この幹部会議に出席した4人のうち、下村博文・元文部科学相、西村康稔・元経済産業相、世耕弘成・前党参院幹事長は、政治倫理審査会などで「会議では結論が出なかった」と説明しており、松本氏の証言と食い違っていた。

 安住氏によると、松本氏は聴取のなかで、「8月の会合で、再開しようというのが全体の流れだった。それに異を唱える人はいなかった」と語り、改めて8月の会合で継続が決まったとの認識を示した。安倍派幹部らの政倫審での発言との食い違いについては、「なぜ(幹部らが)ああいう発言をしたのか疑問に思う」と語ったという。

 予算委は1月、松本氏の参考人招致を議決したが、本人が国会への出席を拒否したため、国会外で非公開の形で聴取が行われた。

 東京地裁は、松本氏の権限には「限界があった」とし、「虚偽記載の前提となるノルマ超過分の処理について、会長や幹部の判断に従わざるを得なかった」と認定している。このため、意思決定の過程が解明されるかも焦点となっていた。

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