写真・図版
支援者から花束を贈られ、首にレイをかけてもらう袴田巌さん(中央)=2024年10月14日午後2時9分、静岡市葵区、本間久志撮影

 1966年に静岡県のみそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして、強盗殺人などの罪で死刑確定後、再審(裁判のやり直し)で無罪が確定した袴田巌さん(88)の選挙権が44年ぶりに回復したことが関係者への取材でわかった。27日投開票の衆院選では投票できる見通しだ。

 弁護団の小川秀世事務局長と姉の秀子さん(91)によると、秀子さんが11日に住所地の浜松市選挙管理委員会に確認したところ、選挙権回復の手続きを終えたとの回答があったという。

 公職選挙法11条は「禁錮以上の刑に処されその執行を終わるまでの者」に対し、選挙権と被選挙権を認めていない。このため、袴田さんは80年に一審の死刑判決が確定してから両方の権利を失っていた。

 袴田さんは長い収容生活による拘禁反応で普段は意思疎通が難しいが、秀子さんは今回の衆院選の投票に連れて行く考えだ。「(投票用紙に)自分の名前を書いてしまうかもしれないけれど、それでいいと思っている。まずは雰囲気を感じてほしい」と話した。(本間久志)

共有