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上野敬幸さん(右)の話を聞く和歌山県立田辺高校の生徒ら=2024年8月7日午後1時59分、福島県南相馬市原町区萱浜、滝口信之撮影

 東日本大震災の被災者から学んだばかりの地震への備えを、直ちに実行に移した。気象庁の「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を聞いて、和歌山県田辺市の高校生たちがこの夏、行動に出た。

 福島県南相馬市を訪ねていたのは、和歌山県立田辺高校1~3年生の生徒6人。高校のある田辺市は南海トラフ地震で津波や揺れの被害が想定されるエリアだ。

 「震災後の福島を見てもらい、震災を自分事として考えてほしい」

 大学卒業後に福島県立郡山高校で4年間教員を務め、現在は田辺高校に勤務する清水昌樹さん(57)が企画。昨年から、原発事故や津波の被害が大きかった福島県の浜通り地方を生徒とともに訪問している。今年は3泊4日で、津波の被害を受けた浪江町の震災遺構・請戸小学校を訪れたり、震災後に浜通りに移住した人に話を聞いたりした。

 訪問3日目の8月7日。南相馬市原町区で家族4人を津波で亡くした上野敬幸さん(51)を訪ねた。

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家族4人を亡くした男性「命を守るかを考えて」

 「震災の悲しい記憶よりも、教訓を忘れないでほしい。災害が起きたとき、どうやって自分の命を、大切な人の命を守るか考えてほしい」

 上野さんはあの日のことを語…

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