房総半島の沖合では、年間2万8千トンものマイクロプラスチック(大きさ5ミリ以下)が深海に沈んでいる――。海洋研究開発機構(JAMSTEC)の研究チームによる観測で、そんな実態が明らかになった。海洋プラの約9割は行方不明といわれる。今回の成果は、この行方を追う手がかりになるという。

 1960年代以降に海へ流出したプラごみは約2500万トンとされ、約320万トンは海面に浮かんでいると推定されている。プラスチックは環境中に出ても分解されないため、残りの約9割がどこへどのように運ばれているのかは解明されていない。

  • 【そもそも解説】プラスチックとは 何からできてる?何が問題?
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海の表層から採取したプラスチック。調査を担当したJAMSTECの池上隆仁さんは「たった20分間でこんなに取れるのは驚きです」と話す=2024年9月4日、神奈川県横須賀市、玉木祥子撮影

 そこで、JAMSTECの池上隆仁・副主任研究員(生物海洋学)らのチームはプラごみのホットスポットとなっている房総半島から約500キロメートル沖合の地点を調査。この場所は、黒潮が房総半島沖から東に進路を変えた「黒潮続流再循環域」と呼ばれる約140万平方キロメートルの海域内にあり、渦が頻繁に発生する。海流や渦によって、プラごみが集まりやすいと考えられている。過去には、付近の深海底からポリ袋などのプラごみも発見されている。

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房総半島沖にある「黒潮続流再循環域」の観測点KEOで調査した=JAMSTECの池上隆仁さん提供

 チームは水深4900メートルの場所に、海面から沈降するマイクロプラを集める漏斗状の装置を設置。2014年7月~16年10月にかけてマイクロプラを採取した。

 採取したマイクロプラの90…

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