警察庁の露木康浩長官は7日の定例の記者会見で、今回の衆院選期間中に演説会場での手荷物検査によって来場者がナイフなどの危険物を持っているのを発見したケースが全国で約30件あったことを明らかにした。
昨年4月に和歌山市で岸田文雄前首相に爆発物が投げつけられた事件を教訓に、警察庁は選挙の演説会場などで来場者に対する手荷物検査や金属探知検査を強化するよう主催者側に求めてきた。警察庁によると、今回の衆院選で主催者などによる検査で見つかった約30件はナイフやカッターナイフ、はさみなどで、いずれも主催者が一時的に預かり、演説終了後に返した。多くは理由のある所持で、特に悪質性が高いケースはなかったという。
露木長官は、演説会場を事前に確認し、警護計画案を審査することで、「急な警護でも的確に対応できた」と説明。「主催者や聴衆の人たちには負担をおかけし、理解と協力に感謝を申し上げる」と述べた。その上で、来年の参院選を見据え、主催者との連携をさらに深めていくとし、「今後も緊張感を緩めず警護に万全を期していきたい」と語った。(編集委員・吉田伸八)