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洗い終わったキクイモを手にする児童=2024年11月14日午前11時8分、福岡県築上町本庄、波多野大介撮影
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 腸内環境を整え、血糖値の上昇を抑えるイヌリン(水溶性食物繊維)を豊富に含むキクイモは、「スーパーフード」として注目されている。

 お茶やパウダーなど健康食品の原料に使われることが多いが、皮付きのまま生で食べられ、煮物や炒め物など調理にも向く野菜でもある。

 しかし、スーパーの青果売り場ではあまり見かけないのは、なぜなのか。

「シャキシャキしておいしい」

 全国有数の産地、福岡県築上町を11月中旬に訪ねた。レインコートを着た地元の上城井小の児童らが、授業の一環で育てたキクイモを洗浄機に入れ、土を落としていた。

 一度洗って、枝のような小粒の部分を切り落とし、土を落としやすくして、もう一度洗う。

 「すぐに食べられるようきれいな状態で出荷したい。土をしっかり取り除くと長く保存もできます」。町内の農家でキクイモの地域特産物マイスターの中安洋子さん(66)は説明する。

 作業を終えた子どもたちが、キクイモを皮付きのまま生でかじった。「シャキシャキしておいしい」

 4年生の神崎耀君(10)は「町の自慢の特産品。全国の人に知ってほしい」と声を弾ませた。

3年で3倍超の作付面積 でも危機感

 町によると、町内で2017年に2.3ヘクタールだった作付面積が20年には3倍超の7.1ヘクタールまで増えた。しかし、この数年は減少傾向で今年は5.6ヘクタールで生産されているという。

 中安さんは「生産者の高齢化が進み、イノシシやシカの食害も増える一方。引退していく人も多い」と危機感を抱く。

 お茶、チップス、ふりかけ…

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