苦しいときこそ、頼りになる。
そんなベテランがサッカーJ1横浜F・マリノスにはいる。
38歳のGK飯倉大樹(ひろき)だ。
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9月25日の天皇杯準々決勝、J2レノファ山口FC戦で先発した。
前半、クリアしようとした球を空振り、同点に追いつかれた。
「ミスはしたけど、勝てば問題ないという気持ちでプレーしていた。どんな状況でも、堂々としていることが大事」
失敗を引きずらなかった。失点からおよそ10分後、同じように自陣左サイドに蹴り込まれた球に対して、またもゴール前から飛び出し、今度は確実にクリアした。
近距離からのシュートも防ぎ、追加点を許さない。積極的にパス回しに参加し、攻撃のリズムも作った。
チームは同17日にあったアジア・チャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)のアウェー・光州FC(韓国)戦で7失点の大敗(3―7)。続く22日のJ1サンフレッチェ広島戦でも6失点を喫して敗れた(2―6)。
2試合で13失点の守備を立て直す役割を期待されてゴールを守ったのが山口戦だった。1失点に抑え、公式戦5試合ぶりの勝利(5―1)に貢献した。
今季の開幕前、J1の各チームから選手1人ずつが集まって抱負を語るイベントがあった。マリノスを代表して参加したのが飯倉だった。
FC町田ゼルビアのJ1初昇格に貢献したポープ・ウィリアムが新たに加入し、控えが予想される立場だった。
どんなモチベーションでこの1年を戦うのかと聞くと、「どれだけチームを後ろから押し上げることができるかだと思う」と答えた。
そして、こう続けた。
「GKが代わる時はあまり流…