パソコンに向かって事務の仕事をしていた若手女性社員はいきなりプロジェクトリーダーになりました。ミッションは「女性が買いたくなるものを生み出す」。コロナ禍の苦境を打破しようという挑戦は、「地味で取っつきにくい」製品を変えていきました。
カンサイのカイシャ ここがオモロイ!
2020年春ごろ、園芸や防犯用品の製造・販売会社「ムサシ」の国内営業責任者だった野田光信さん(48)は危機感を抱いていた。コロナ禍で、製品の主要な売り場だったホームセンターに人が来られなくなった。売り上げが大幅に減りかねない。
同じころ、社長の岡本篤さん(49)は考えていた。従業員の約半分は女性。なのに「力を生かしきれていない」。岡本さんはムサシに入る前、フィリピンで3年間、取材記者をしていた。女性が力を発揮して働く姿を目の当たりにした。帰国後、ムサシに入り、14年に社長に就任してから変えるきっかけを探していた。
かつて、女性の利用者が多い通販会社に「男性向けなので扱えない」と言われたムサシの主力製品のセンサーライトがあった。女性をターゲットにした色を展開したところ売れたという経験をしていた。ただ、相変わらず主力製品は年配の男性向けが中心だった。そこで女性にも手にとってもらえる製品を開発しようと、女性中心のチームを作ることに。リーダーに登用されたのが当時、出荷事務部にいた三浦萌以さん(34)だった。
かわいいと思えない
三浦さんも「センサーライト…