能登牧場が肥育する黒毛和牛。震災前は1100頭を超えていたが、現在は900頭ほどに減らしている=2024年4月23日午前11時45分、石川県能登町泉、安田琢典撮影
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 能登半島地震では、石川県を代表する食用ブランド牛「能登牛」にも大きな被害が出た。県内全域で肥育される約3千頭の黒毛和牛のうち、4割余りを育てる能登町の「能登牧場」は、一部の牛舎で建て替えが必要になり、被害額は数億円にのぼる。それでもブランドを守ろうと、全国から会員を募る「ファンクラブ」に活路を見いだす。

 能登牧場は2014年、県の誘致を受けた前橋市の「赤城畜産」が始めた系列会社だ。普段は1100頭を超える黒毛和牛を育てている。

 元日の地震で激しい揺れに襲われ、4棟ある牛舎が損壊。3棟はコンクリートの基礎部分を直したり、鉄骨の柱などを取り換えたりする大規模な修理で対応するが、大きく傾いた1棟は建て直しが必要になった。牛舎内のスペースを確保するため、現在は900頭ほどに減らして育てている。

 能登牛の8割は同町や珠洲市などの奥能登地域で育てられている。肥育農家は30件ほどあったが、規模が小さかったり、生産者が高齢だったりした数件は地震をきっかけに廃業も検討しているという。

牛舎の修理に数億円見込む

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