つながれた手

Re:Ron連載「みたらし加奈の味方でありたい」第12回

 【30代男性です。最近「性的同意」について知り、いろいろ調べてみました。私には恋人がいるのですが、自分が「性的同意」を取れているのか不安です。お互いの体のことなので、大事にしたいと思っていますが、その不安を相手に確認してもいいものなのか、聞くことで嫌がられるのではないかといつも悩んでいます。そういったとき、どうすればいいか教えてください】(くじら)

 くじらさん、お悩みを送ってくださり、ありがとうございます。文章を拝読して、くじらさんの「大切にしたい」想いが伝わってきました。

 私からお答えできることはひとつ。こうして送ってくださった文言を、そのままパートナーの方に聞いてみることだと思うのです。

 ただそうは言っても、関係性によっては直接的に聞くことができない場合もあると思います。私もさまざまな場所で、性的同意に関する講演などを行ってきましたが、やはりそのなかで耳にするのは「確認の難しさ」でした。

 ではなぜ、確認の難しさを感じるのか、それは性的同意という概念に「セックス」を当てはめすぎているからなのです。相手の体やプライベートパーツに触れる行為だからこそ、同意を取るのは必要不可欠ではありますが、そこに性的な意味合いを含めすぎることで見落とされてしまうニュアンスもあります。

 多くの人々は、誰かとコミュニケーションを取るときに「同意」を得ながら会話を進めていきます。

【みたらし加奈さんへの相談はこちらから】

「味方でありたい」は、読者の皆様からの悩みやメッセージに答えるかたちでみたらしさんが考えます。LGBTQ+の当事者、支援者の方からもお待ちしています。(相談は記事で紹介する場合があります)

 例えば友人とご飯に行くときに、中華料理を食べたい人と、イタリアンを食べたい人がどちらもいた場合は、折衷案を提示したり、両者の希望を提示したりしながら話し合いが進んでいくはずです。その際特に重視されるのは「絶対に食べたくないもの」や「アレルギーがあるもの」でしょう。相手が「甲殻類アレルギーなんだ」と言っているのに甲殻類を食べさせようとしたり、「肉は絶対に食べたくない」と言っているのに焼き肉店を選んだりはしないと思います。

 こういった話が出たときに、「じゃあ同意書を先に書かせればいいのか」なんて議論は起こりません。なぜなら、多くの人たちにとってそのコミュニケーションは〝当たり前〟のことだからです。食べ物に関するコミュニケーションにおいて、個人の好きや嫌いは尊重されやすいため、意見を表明しやすくなります。そうすると、自然と「同意」がスムーズにおこなわれます。

 これは性的な行為においても、同じことがいえるはずなのです。

 それどころか、性的な行為は…

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