山口県

 【山口】被災したJR美祢線を復旧させた場合、鉄道をどのように管理・運行するかについて、JR西日本は31日、自治体が管理し、同社が運行する「上下分離方式」による「(鉄道運営への)参画が不可欠」との考えを示した。同社はすでに、単独での鉄道復旧や運行は困難との意向を表明している。

 この日、山陽小野田市で開催された同線利用促進協議会の部会で表明した。被災鉄道の復旧だけでなく、復旧後の鉄道経営についても、JR西単独では担えない考えを示したものだ。

 同社は部会で、復旧させる場合に自治体が担う負担額の試算を示した。同社単独で復旧させる場合では、自治体は4億円を負担するのに対し、上下分離方式を前提に復旧させる場合には、自治体の負担額は5.3億円に膨らむという。

 さらに同社は、復旧させた後にかかる鉄道の維持費についても試算を提示した。同社は単独経営を困難としており、試算は上下分離方式のみ示した。それによると、年間の維持費は、自治体が3億円以上、同社は2.5億円をそれぞれ負担することになるという。

 同線の復旧費をめぐり、JR西は、崩落した第6厚狭川橋の改築などに約58億円以上の費用がかかり、復旧工事は着工から5年程度かかる見通しをすでに示している。

 部会は来年5月の総会に向けて、鉄道による復旧とは別に、鉄道以外の交通手段による復旧についても、検討している。

 この日の部会では、JR西が厚狭―長門市間で運行している代行バスについて、協議会は12月から、利用者や沿線住民らを対象にしたアンケートを行うことも明らかにした。

 同社としては、代行バスの利用者らに対する調査をもとに、鉄道以外の交通手段のあり方を検討し、今後の部会で示す考えだ。

 JR西は部会で、「利便性と持続可能性を確保した地域公共交通の復旧は必要だ」と強調した。

 29日に同社が発表した、利用客が特に少ないローカル線の2021~23年度の平均収支によると、美祢線は年度平均で4.3億円の赤字。費用に対して収入がどれだけあるかを示す「収支率」は、発表対象30区間の平均12・0%を下回る10.9%だった。(池田良)

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