インタビューに答える古屋龍太さん

 精神疾患のある入院患者は約26万人で、その約6割が1年以上の長期入院です。地域での受け入れ条件が整えば退院可能な人もいます。国連の障害者権利委員会は日本政府に対し、あらゆる期限のない入院を終わらせて自立生活を促進するよう勧告しています。どうすれば本人が望む暮らしが実現できるのでしょうか。長期入院をめぐって国への賠償訴訟を起こした男性を支援している古屋龍太・日本社会事業大名誉教授(精神保健福祉)に聞きました。

 ――長期入院の何が問題だと考えていますか。

 入院治療によって急性期の精神症状などはおさまります。でも、食事や外出時間など日常生活は管理され自由が制約されがちです。入院が長くなるほど自発的な行動力が失われ、退院する意欲もなくなっていく。

 地域で暮らしたくても、必要な情報や適切な支援がなく、入院という環境に適応せざるを得ない。そんな人たちを目の当たりにしてきました。

 病院で亡くなる「死亡退院」に立ち会い、見送る親族もいない寂しい野辺送りも何度もしました。十分な支援があれば、人知れず病院で亡くなることもなかった人たちです。

生活基盤は本人が望む地域に

 人がどこに住み、どのように…

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