道の駅の展望所で嘉手納基地の滑走路を離着陸する米軍機を撮影する人たち=2024年2月19日午後3時22分、沖縄県嘉手納町、上地一姫撮影

 轟音(ごうおん)が徐々に大きくなり、戦闘機が近づいてくる。

 「きた、きた」。待ち構えていた人たちが、一斉にカメラやスマホのシャッターを切る。頭上の掲示板には「電車が通る時のガード下」音に匹敵する103デシベルが点灯する。

 沖縄本島中部、嘉手納町の道の駅かでな。せり出す形に設計された展望所の眼下には、米軍嘉手納基地が広がる。

 国内だけでなく、中国や台湾、韓国など海外からの客も訪れる。目当ては、4千メートル級の滑走路2本で離着陸を繰り返す米軍機だ。近隣を周回し数十分おきに戻ってくる機体も、遠方で訓練し数時間後に戻ってくる機体もある。

嘉手納基地の滑走路を離着陸する米軍機をみるために、道の駅の展望所には大勢の観光客が集まる=2024年2月21日午後0時38分、沖縄県嘉手納町、上地一姫撮影

 「すごい見晴らし。いる間に米軍機の離着陸は見られなかった。騒音は体験できず残念、といったら地元の人に悪いですね」

 2月下旬。今井義和さん(62)=千葉市=は、家族旅行で訪れた。昨年、展望所の下にある「吉の見える宝くじ売場(うりば)」で宝くじを買い、当たったため再訪。この日も購入した。

基地がある現実が変わらないなら使ってやろう

 「基地」と「吉」。同じ音の「きち」を引っかけて店名に「吉の見える」と付けたのは、この町で生まれ育った店主の伊敷猛さん(54)だ。店を構えるには立地が重要。年間50万人以上が訪れる道の駅はうってつけだった。

 ネーミングにも工夫を凝らした。「目の前に基地がある現実が変わらないなら、皮肉を込めて使ってやろう」

 町の総面積の約82%を嘉手…

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