【動画】イランのイスラム革命防衛隊が公開した、イラン上空に閃光(せんこう)が走る映像=ロイター/アイプレス

 イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザの最南端ラファへの地上侵攻に踏み切る構えを強めています。ロイター通信は24日、イスラエル政府当局者の話として、ネタニヤフ政権が今後2週間以内に、地上作戦に向けた住民の退避を承認する会議を開く予定だと伝えました。イスラエル軍は24日、新たに二つの旅団をガザでの作戦に投入すると発表しました。

 国際社会は懸念を強めています。米ネットメディア「アクシオス」は24日、複数のイスラエル当局者の情報として、イスラエルと、地上侵攻に反対するエジプトの軍事・情報部門の高官が同日、エジプトのカイロで会談し、ラファの地上作戦について話し合ったと報じました。

 米国のサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は24日の記者会見で、イスラエル側と先週オンラインで協議をしたことを明かし、「ラファでのハマスの脅威に対処するには別の方法があると伝えた」と話しました。

イスラエル・パレスチナ問題をめぐる動きを時系列でお伝えします。

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■■■2024年4月26日(日本時間)の動き■■■

米軍がガザ沿岸の桟橋建設を開始 支援物資の搬入開始は5月上旬

 米国防総省は25日、パレスチナ自治区ガザ地区の沿岸で、人道支援物資を海から搬入するための海上桟橋の建設を始めたと明らかにした。ライダー報道官は記者会見で「米軍艦船が、仮設の桟橋と土手道の初期工事を始めた」と述べた。

 イスラム組織ハマスの壊滅をめざすイスラエルの攻撃により、ガザ地区では人道危機が深刻化し、飢餓が広がっている。

 桟橋の設置は3月初旬の一般教書演説でバイデン大統領が打ち出したもの。米軍高官によると、支援物資の搬入は5月上旬に始まる見通しで、最初は1日あたりトラック90台分だが、150台分まで増やす方向だという。

イスラエル軍、ラファに空爆 子供2人死亡 AP通信

 AP通信は25日、イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザ最南端ラファで同日未明にかけて空爆を行い、6歳と8歳の子ども2人を含む少なくとも5人が死亡したと報じた。現地の病院関係者の話として伝えた。

 イスラエルはガザを実効支配するイスラム組織ハマスの壊滅を掲げ、約150万人の避難民が集まるラファに近く地上侵攻する構えをみせている。ロイター通信によるとイスラエル政府報道官はこの日、同国の戦時内閣が閣議を開き、ラファなどにおける作戦について協議したと明かした。一方、地上侵攻の時期については言及を避けたという。

■■■2024年4月25日(日本時間)の動き■■■

ヒズボラ「司令官の半数殺害」を否定 AFP通信

 レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラは25日、同組織の司令官の半数を殺害したとするイスラエルの主張について、「事実無根だ」と否定した。AFP通信が匿名のヒズボラ関係者の話として報じた。

 イスラエルのガラント国防相は24日、レバノン南部に展開するヒズボラの司令官の半数を殺害したと主張していた。一方、この関係者はAFP通信に「一定の責任を持つ」ヒズボラの戦闘員のうち、殺害された人数はごく少数と語ったという。

18カ国首脳、ハマスに人質解放求める共同声明

 自国民がイスラム組織ハマスに人質として捕らわれた米国など18カ国の首脳が25日、即時解放を求める共同声明を発表した。

 声明は、「人質解放のための交渉が、ガザでの即時かつ長期的な停戦をもたらし、必要な人道支援物資をガザ全域に行き渡らせることになる」と強調した。

 ハマスは昨年10月7日にイスラエルに越境攻撃をしかけて人質をとり、今もパレスチナ自治区ガザで約130人を拘束しているとされる。人質解放とガザでの戦闘休止を実現するための交渉が続いているが、イスラエルとハマスの条件が折り合わず、行き詰まっている。

 声明を出したのは、米国、アルゼンチン、オーストリア、ブラジル、ブルガリア、カナダ、コロンビア、デンマーク、フランス、ドイツ、ハンガリー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、セルビア、スペイン、タイ、英国の首脳。

イエメン沖で船舶を攻撃か 前日にもミサイル撃墜

 英国の海事機関(UKMTO)によると、イエメン沖で航行中の船舶を狙ったとみられる攻撃があった。船舶側からアデン沖25キロ南海上で轟音(ごうおん)が響いて波が立ち、煙も上ったと報告があった。AP通信が伝えた。船に損傷はなく、負傷者もいなかったという。

 米軍によると、24日にも同じ海域で同盟国がミサイルを撃墜し、イエメンの反政府組織フーシが攻撃を認めた。フーシは昨年11月に紅海やアデン湾を航行する商船への攻撃を始め、今年3月には犠牲者も出たが、船舶が紅海の航行を避けるようになったこともあり、過去数週間は攻撃の回数が減っていたという。

■■■2024年4月24日(日本時間)の動き■■■

ハマス、イスラエル系米国人の人質の映像を公開

 イスラム組織ハマスは24日、昨年10月7日にイスラエルに越境攻撃をしかけた際に人質としたイスラエル系米国人のハーシュ・ゴールドバーグポリンさんとみられる人物の映像を公開した。

 ハマスが襲撃した音楽祭の会場で捕らえたとされるゴールドバーグポリンさんとみられる人物は映像のなかで、「水、食料、太陽、必要な治療を受けられない地下の地獄にいる」などと話している。

 米ネットメディア「アクシオス」は24日、事情を知る関係者の情報として、この映像はハマスが公開する前の22日に、人質解放交渉の仲介を担っているカタールによって米国とイスラエルに渡されていた。バイデン米政権は、数回にわたってカタール政府に対して米国人の人質が生きている証拠を得るための支援を求めていたという。

イスラエル国防相、「ヒズボラ司令官の半数を殺害」と主張

 イスラエルのガラント国防相は24日、レバノンのイスラム教シーア派組織「ヒズボラ」の司令官の半数を殺害したと主張した。ロイター通信などが伝えた。レバノンと国境を接するイスラエル北部では、イスラエル軍とヒズボラの戦闘が続いている。

 地元紙「タイムズ・オブ・イスラエル」によると、ガラント氏はイスラエル北部の軍事拠点で軍幹部と会談。「レバノン南部のヒズボラ司令官の半数は殺害され、残り半数は身を潜め、同国南部を放棄している」と述べた。

イスラエル軍、2旅団をガザに動員 ラファ侵攻の準備か

 イスラエル軍は24日、北部国境で活動してきた2旅団をパレスチナ自治区ガザでの戦闘に動員したと発表した。戦闘に備えて、訓練を繰り返し、準備しているという。イスラエル軍は、近くガザ最南端のラファに侵攻する構えをみせている。

 米ウォールストリート・ジャーナルは22日、「ラファ侵攻が迫っている」と報道。イスラエル側から説明を受けたエジプト政府関係者の話として、ラファからの避難先として、ハンユニスなどにテントや食料配給所、医療施設が設置される計画と伝えた。住民避難は2~3週間で、ラファでの戦闘は少なくとも6週間は続く見込みとしている。

イランとパキスタン、対イスラエルで国連安保理に要求

 イランとパキスタンは24日、イスラエルが近隣国や、他国の外交施設を「違法に」標的にしているとして、国連安全保障理事会にイスラエルに対する措置を取るよう要求した。ロイター通信が報じた。1日に在シリアのイラン大使館が空爆を受けたことが念頭にあるとみられる。

 イランのライシ大統領がパキスタンを訪問し、同国のシャリフ首相との首脳会談などに臨んだ。パキスタン外務省が発表した両首脳の共同声明で「すでに不安定な地域で大きなエスカレーションを起こしている」とイスラエルを非難した。

イスラマバードでイランのライシ大統領(左)とパキスタンのシャリフ首相。パキスタン首相府提供=AP

「国際法が崩壊寸前」アムネスティ・インターナショナルが警告

 国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは24日、世界の人権状況に関する年次報告書を公表し、「国際法は崩壊寸前にある」と警告した。

 報告書は、パレスチナ自治区ガザ地区での戦闘をめぐり、米国が停戦決議案に対する拒否権の行使などを通じ、何カ月も国連安全保障理事会をまひさせていると指摘した。欧州諸国についても、イスラム組織ハマスやウクライナ侵攻でのロシアの戦争犯罪に抗議する一方で、ガザ侵攻でのイスラエルの一連の行動は支持するという「グロテスクな二重基準」状態にあると批判した。

 イスラエルの後ろ盾になっている欧米の国々が民間人の殺傷に歯止めをかけられなかったことで、「イスラエルによる国際法の無視はさらに悪化している」とも指摘した。

 AP通信によると、アムネスティの事務局長は「この1年で目撃された国際法違反のレベルは前代未聞だ」と述べたという。

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